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戸田克樹のコラム
第343話「薬剤説明書、1度は見ておきたいですね その①」

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2021年7月21日

地域によっては獣医師がすぐには来られない牧場がありますよね。そうした場所では牧場スタッフ自身が獣医師の指示のもと、牛に治療を行うケースがあるかと思います。獣医師が診察後、牧場スタッフに投薬を指示するケースもありますね。ベテランのスタッフや慣れたスタッフでは問題ないのですが、治療を行う際に間違ってほしくないのは投与量と投与方法です。

どの薬にも必ず「〇kgあたり▲ml」、もしくは「1頭あたり△ml」、といったように投与量が明記されています。さらに、「皮下注」、「筋注」、「静注」などの投与方法の指定もされています(注射薬の中には「皮下注」「筋注」「静注」のすべてが書いてあり、どの投与方法でも問題ない薬もあります)。

薬は肝臓で代謝されて尿や糞中に排泄されますので、過剰投与は肝臓に大きな負担をかけることになります。規定量より少なく投与すれば期待した効用が得られない、という残念な結果になってしまうかもしれません。さらに、抗生剤であれば薬剤耐性菌の発生を促進してしまう危険性もあります。規定量はその薬剤が効能を発揮できることが確認できた量なので、やはり守ったほうがよいでしょう。忘れたり、勘違いしたりすることもありますので、定期的にきちんと確認しておきたいものです。
ちなみに、「〇kgあたり成分として・・・・・▲mg」という薬剤の成分量で表記されている場合の投与量の計算方法についてはコラム235話をご参照ください。

つづく

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