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戸田克樹のコラム
第235話「算数の時間」

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2019年5月22日

とある農家さんから「薬の投与量教えてほしい」という相談がありました。使用頻度の少ない薬や、新たに農場に導入した薬剤についてはどれくらいの投与量か分からないケースがあるかもしれません。改めて、薬の投与量をどう出せばいいか考えてみましょう。

一部の薬には、説明書欄に「1頭あたり〇〇ml」、あるいは「体重1kgあたり△△ml」と投与量がそのまま記載されています。しかし、ほとんどの薬には「1kgあたり◇(薬剤の成分名)としてmg」と、投与量が液量ではなく成分量・・・・・・・・・で記載されています。この場合が少々厄介ですね。たいていの場合は、続けて「本剤1mlに(成分名)として◇mg含まれる」と併記されていますので、たいていはこの情報を元に計算していきます。

では、投与量は「1kgあたり10mg」、成分量は「1mlあたり0.2g」という薬剤を例にとり、実際に投与量の計算をやってみましょう。

投与量を100kgあたりになおす。
牛さんはあまりにも体重が大きいので、まずは考えやすいように100kgあたりの投与量になおしておきましょう。今回は「1kgあたり10㎎」なので、1000mg/100kg(100kgあたり1000mg)ですね。

100kgあたりの成分量が1mlあたりの成分量の何倍かを求めます。
成分量は薬液1mlあたり0.2gでした。①で100kgあたりの成分量は1000mg(=1g)でしたので、1mlあたりの成分量の5倍(0.2×5=1)であることがわかります

実は、②で分かった倍数こそが100kgあたりの投与量となります。
今回は「5」倍でしたので、100kgあたり5mlとなりますね。

文字ばかりで分かりにくい(# ゚Д゚)
ということで図にまとめてみました。

ちなみに弊社には笹崎獣医が作成した薬剤投与量一覧という、「薬剤名」「100kgあたりの投与量」「出荷規制」「効能」を記載した光り輝くマニュアルが存在しており、いちいちこうした計算をする必要がありません。こうしたシートが農場に1枚あると、ふとしたときに便利かもしれないですね。

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