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第311話「コクシがいた③~治療をする際のポイント~」

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2020年11月25日

では、OPGが高くコクシジウムの治療が必要と判断した場合のケースを考えてみましょう。

コクシジウム治療には、サルファ剤のジメトキシン注NZ(ゼノアック)、ST合剤のエクテシン液(Meiji Seika ファルマ)、トリトラズル製剤のバイコックス(バイエル薬品株式会社)などがあります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

サルファ剤
この薬剤にはビタミンB群に含まれる葉酸の合成を阻害する作用があります。葉酸は遺伝情報が詰まっているDNAの複製を行う際に必要となる物質です。コクシジウムはサナギになって羽化する過程をとりますので、葉酸は必要不可欠(ちなみに、細菌にも葉酸合成回路がありますのでサルファ剤は抗菌剤としての効果も持っています)。葉酸が作れなくなることでDNAの複製ができず、その結果増殖できなくなるというわけです。獣医師は静脈投与のできるジメトキシン注を使用する機会が多いですが、出荷規制が14日と長いのが難点です。

ST合剤
サルファ剤にさらに「トリメトプリム」という成分が加わったのがST合剤です。サルファ剤はジヒドロ葉酸を作る過程を、トリメトプリムはテトラヒドロ葉酸を作る過程をジャマします。要は単体よりも効果が大きいということです。さらに、このエクテシン液は出荷規制が7日と注射薬に比べて短いという利点もあります。農家さんや肥育後期の牛さんには出荷規制が短く、経口投与で済むエクテシン液を使用することが多いかもしれませんね。

※サルファ剤やST合剤は基本的に3日間連続で投薬する必要があることや、効果のあるコクシジウムのステージが限定されていることが共通のデメリットとして挙げられます。
松本コラム2009年12月11日の図(コクシジウムの一生)参照

トリトラズル製剤
何といっても薬剤効果の範囲が広いというのがこの薬剤の特徴です。オーシスト(糞中に含まれて排泄されるコクシジウムの卵のようなもの)時期以外のすべてのステージに効果があり、効果のある範囲が広いために投与が1回でよいというメリットがあります。体重あたりの投与量が大きいことと、出荷規制が長いことが難点でしょうか。サルファ剤は3日間の投与が基本となりますので、投与量がさほど多くならず、出荷規制も気にしなくてよい哺乳期子牛に対しては投薬の手間が少ないこちらの薬剤を選択することが多いです。

それぞれの薬剤の特徴を活かして治療薬を選択していきましょう。

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