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戸田克樹のコラム
第310話「コクシがいた②~OPGが重要な理由~」

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2020年11月18日

お腹周りのぜい肉が気になってきました。33歳となり、ついに〇年太りが始まったのでしょうか。「食事制限と運動をすればいいじゃない」おっしゃる通りです…(-_-;)

コクシジウム(+)となったらOPGまで確認する必要があることは前回お伝えしました。今回はOPGの数値をどう判断するかについて考えてみましょう。

例えばOPGが1000以下の場合、その下痢はコクシジウム感染によるものではないと考えます。たとえひどい水下痢をしていても、OPGが200や500などの数値であればコクシジウムが原因とはいえません。つまり、サルファ剤(コクシジウム駆虫薬)を投与しても根本治療にはならないということです。

逆にOPGが5,000あるいは10,000を超えているケースに遭遇することもあります。こうした場合はひどい水下痢や場合によっては血便を呈していることもあります。OPGが非常に高い数値だった場合はその下痢(もしくは血便)の原因はコクシジウム感染によるものであるといえます。速やかにコクシジウム症の治療薬を投薬してあげましょう。

シェパードでは最大でOPG30万オーバーの牛が確認されたことがあります。血便を呈していたこの牛の治療は結構長引きました。ここまで濃厚感染が起こっていると、すでに腸粘膜はボロボロになっており修復に時間がかかります。そのため、サルファ剤の投与を行ってもすぐには治らないことが多いです。こういう場合は長期戦を覚悟しなければなりません。
なお、サルファ剤の長期投与はサルファ腎症を引き起こしますので避けましょう。サルファ剤の投与は3日間連日投与したら一旦中止した方がよいです。

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