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戸田克樹のコラム
第309話「コクシがいた①~いろいろなコクシジウム~」

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2020年11月11日

今月は11月です。ということは、次は12月ですよね。そうすると、2021年がやってくるってことですよ。どうしましょう…。まずはクリスマスケーキの予約をしましょうか。

さて、牛の下痢を見つけたらコクシジウムの感染を疑う。
このこと自体は悪いことではありません。しかし、コクシジウムは下痢の原因のひとつです。「下痢=コクシジウム感染」ではないのが実は重要なところ。ここを抑えておかないと、「サルファ剤(コクシジウムの治療薬)をずっと投与しているのに全然よくならない!なんで!?」というパニックに陥ってしまいます。

コクシジウム(+)ってどういうこと?
下痢の原因として有名なコクシジウムですが、それが下痢の原因かどうかを探るための検査は糞便中のオーシスト(コクシジウムの卵です)を見つけることから始まります。
一口にコクシジウムといっても種類は実に豊富です。「牛 コクシジウム 種類」とインターネットで検索してみると、いろいろな虫卵に出会えますよ。

牛でよく目にするのはE.bovis(アイメリア・ボビス)という種類です。要注意なのはE.zuernii(アイメリア・ツェルニ)という種類で、こちらに感染すると重症化しやすいので、この虫卵が見えたら「ムムム!!!」と眉間にシワが寄り始めます。

ところで、糞便中のオーシストを顕微鏡で見つけるという検査で最も重要なポイントは「コクシジウムの虫卵があること自体は重要ではない」ということです。糞便検査ではOPG(ーシストラム:糞便1gあたりに含まれるオーシストの数)を算出します。そのOPGの数値こそが重要であり、虫卵があった、なかった、ということ自体にさほど重要な意味がないのです。ここ、非常に重要ですよ!

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