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第639話:内臓とエンドトキシン

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2020年10月22日

 小生は自分のことを「田舎の鼻糞獣医師(一部の農家さんではハスは獣医ではなく八医だと言っている)」と思っていたのですが、最近物忘れを連発し「ポンコツ」という形容詞が追加されました。

 「田舎の鼻糞ポンコツ獣医師」

 自分がポンコツであることを深く自覚し徹底してメモ書き、復唱、確認などをしていきます。

 第636話で小生は「内臓は疲れている」というテーマで肥育牛の内臓疾患の状況を紹介いたしました。出荷される牛さんの約76%に何かしらの内臓疾患があるという内容です。本当に肥育牛は大変です。
 肥育牛ではいろいろな内臓に問題がでるのですが、特に疾病の中で大きな割合を占めているのが次の3カ所になります。肝臓、小腸、大腸です。あくまでも一例にすぎませんが、肝臓に問題がある牛さんは約42%、小腸に問題がある牛さんは約44%、そして大腸も約40%の牛さんに問題があります。当然飼養管理を行っていくうえで、ここをターゲットに予防していく事が重要です。
 多くの牧場では肝臓を守るために、強肝剤を飼料添加したり、小腸や大腸を守るために生菌剤を使用したりしています。非常に理にかなった対策になりますので、是非肥育牛ではしっかりと生菌剤と強肝剤をうまく使っていただきたいと思います。

 小生は肥育牛のこれら内臓疾患の多くは第一胃で発生するエンドトキシンが非常に大きな問題を引き起こしていると考えています。エンドトキシン自体は体内に吸収されなければ大きな問題を引き起こしにくいのですが、第一胃炎、第四胃炎などがあると、炎症をおこしているところから体内にエンドトキシンが吸収され、体中に大きな問題をひきおこすといわれています。特に肝臓はエンドトキシンの猛攻をうけ、大きなダメージを被ります。第一胃や第四胃の病変部からエンドトキシンが吸収されると、一発で第一胃運動や第四胃運動が止まるという報告もあります。エンドトキシンだけならまだよいのですが、第一胃の病変部から細菌(Fusobacterium属等)が入り込み、肝臓等に膿瘍をつくる事例もあります。脂肪壊死症などは、遺伝病のようにも思われますが、このエンドトキシンが一つの増悪因子となっているのではないかという意見もあり、小生は思わず首肯してしまいました。
 やはりいかにして第一胃の発酵を安定化させるかという点が非常に重要なポイントになりますね。内臓を守るためにも、粗飼料の量、給与時間、給与量、給与の順番、配合飼料の増給量など日々の細かい管理を再度確認することが大事ですね。あと、過度なビタミンA制限も注意してくださいね!

今週の動画 「Fat necrosis 脂肪壊死症」

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