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戸田克樹のコラム
第291話「その初乳給与、ちょいとお待ちを!①」

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2020年7月8日

衣替えの季節ですね。私も先日、夏用の生地が薄いズボンに入れ替えました。ところがいざズボンをはいてみると、ウエストが入りません!!!
えと‥‥、新しいズボンを買いにいきます(笑)。

さて、初乳の重要性を十分理解していらっしゃる農家さんや牧場スタッフの皆様にこそ注意していただきたいポイントがあります。今回お伝えしたいのは、「初乳給与は決して焦ってはいけない」という点です。

私が大学生のころ使っていた教科書には「初乳中の移行抗体の吸収能は24時間以内に減少するので、出生後できるだけ早く飲ませる必要がある」としか書かれていません。結構ざっくりしてますね。今では「生後6時間以内に」という考え方がメジャーなようです。皆さんもすでにご存知のとおり、子牛がもつ初乳中の移行抗体吸収力は時間とともに変化していきます(松本vetコラム2018年4月13日参照)。
生まれてから6時間を過ぎると、吸収率は50%を切ってしまうようです。確かに、これよりも早い段階で初乳を飲んだ方がよいように思えますね。

しかし、この6時間以内という締め切りを意識しすぎるあまり、「とにかく早く飲ませたほうが良い」という考えに至るのは危険です。とくに注意すべきは経鼻(経口)投与できる方がいる農場様です。

難産だったせいか子牛に少し元気がない、小さい子牛だから心配、親が舐めてくれなかったからすぐハッチに移動させた、などの状況において、初乳製剤を給与するケースがありますよね。そんなとき、チューブを使った経鼻(経口)投与で初乳製剤を飲ませることがありますよね。

しかし、初乳製剤の早すぎる給与が場合によっては子牛の命を危険にさらしてしまう可能性があることもぜひ知っておいてほしいのです。
はたして、なぜ危険なのでしょうか。

つづく

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