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戸田克樹のコラム
第292話「その初乳給与、ちょいとお待ちを!②」

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2020年7月15日

すんなり生まれてもお腹には羊水がタプタプ…
難産や安産に関わらず・・・・・・・・・・、出生直後の子牛の四胃にはある程度の量の羊水が入っています。「安産であったとしても羊水を飲んでいる」ということは意外と知られていません。この四胃内の羊水が小腸以下に流れ、四胃内に余裕ができることで初めて空腹感が生まれ、「ミルク飲みたい!」という飲乳欲が発現します。

四胃内の羊水は口から吐かせることができませんので、消化管の蠕動運動によって小腸方向に流れてもらうのを待つしかありません。消化管が円滑に動いて四胃内の羊水を下部消化管に送り出すことができれば、四胃の容積に余裕が生まれ、空腹感が生じ、自然と子牛が初乳を飲める状態につながります。

では、もし準備ができていないときに強制的に飲ませてしまったら一体どんな問題があるのでしょうか。また、空腹感をできるだけ早く感じてもらうために何かできることはないのでしょうか。それらについて次回、少し考えてみましょう。
つづく

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