2020年7月1日 肝臓や腎臓に障害を与えるマイコトキシンはもちろん大事なのですが、繁殖農家にとって最もおそろしいマイコトキシンを紹介してこのシリーズを締めくくることにします。 その名はゼアラレノン 別に激しい中毒症状は示さないのに… 流産・鈍性発情・発情周期の乱れetc 普段は卵巣内の卵胞の発育に伴って増えるエストロジェンが「増えたと勘違い」してしまうので、発情周期でもないのに(実際は卵胞が発育していないのに)発情行動を示す、あるいは明瞭ではない発情様行動が数日に渡って持続する(細胞が明瞭なホルモンの増減を感知できなくなるため)、さらにエストロジェンは本来排卵直前に大量に分泌されるホルモンのため、妊娠中であっても発情期にあると体が「勘違い」し流産さえ起こってしまうのです。 産業動物では豚の感受性がもっとも高くゼアラレノンによる死流産がよく問題になります。豚ほどの感受性はないのですが、牛でも同様に死流産が起こりうるため、このマイコトキシンには注意が必要です。 梅雨の時期は私たち人間もウツウツとしてしまいますが、カビという強敵をいかに攻略するかというテーマに取り組みながら仕事をしていくのもおもしろいかもしれませんね。 おしまい 前の記事 第289話「梅雨になると思い出すマイコトキシン⑥」 | 次の記事 第291話「その初乳給与、ちょいとお待ちを!①」 |