(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第121話「薬が効かない耐性菌①」

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2017年1月24日

寒いですね。
南国鹿児島でも雪が降っています。診療中は手先が冷えていたいです。
「牛がふるえとる!すぐ来て!!」という電話も朝からひっきりなしです。阿久根は週末に気温がまた上がってくるとの予報。牛さん、農家さん、もう少しの辛抱です(T_T)

さて、治療の現場で頻繁に使用される抗生物質について、今回からは「薬剤耐性」の観点からコラムをつづっていこうと思います。
抗生物質にはさまざまな種類やはたらきがあることはコラム第111116話まででお伝えしました。それぞれ作用する場所が異なり、効果も異なります。薬剤が増えるたびに私たち人類が倒すことのできる病原体は増えていきました。すばらしい進歩です。

でも、「新しい薬を作らざるをえなかった」という側面もあるのです。
その原因は、「耐性菌の出現」という、大きな問題が発生したからにほかなりません。

いちばん古い歴史をもつ抗生物質はアオカビのコロニーから発見されたペニシリンです。
この発見により、たくさんの感染症が治療できるようになり、動物を含めたくさんの命が救われました。

しかし、ペニシリンがあまり効かない、あるいはまったく効果がない病原体も徐々に発見されていきました。
ここから、抗生物質の弱作用菌や耐性菌との長きに渡る闘いが始まりました。

では、最古の抗生物質であるペニシリンが効果のない、いわゆる「ペニシリン耐性菌」と呼ばれる病原体はどのようにして発生してしまったのでしょうか。

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