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戸田克樹のコラム
第116話「アンチバイオテック!⑤」

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2016年12月20日

先日、診療所のある阿久根市で年末恒例の「阿久根市産業祭」なるものが開催されました。
阿久根市最大の物産展なのですが、恥ずかしながら会場に足を運んだのは初めて…。
お目当ては鹿児島実業高校新体操部の演技でした(笑)。

You tubeで見て一気にはまってしまった鹿実の新体操。ナマで見られて感動です!
もちろん、産業祭では地域の特産品もずらり!お客さんも多くて活気にあふれたイベントでした。来年もいこ~っと♪
 
 
サルファ剤・ST合剤
今回とりあげるのは「葉酸」を作れなくする作用をもつ抗菌薬です。
葉酸ってなんでしょう。
最近、サプリで有名になった葉酸とは、別名ビタミンB9と呼ばれる水溶性ビタミンの1種なのです。この葉酸が活躍するのはずばり「DNA合成」のとき!

遺伝子を合成するときに必要な葉酸を作り出す過程をジャマして、結果的に遺伝子合成ができなくなる…
つまり!細菌の増殖ができない!!

という効果を発揮してくれるわけです。

こうした作用をもつ薬剤の代表がサルファ剤やST合剤という抗菌薬なのです。
ちなみに、STとは、S:スルファメトキサゾール、T:トリメトプリムの略で、「ふたつの薬剤が入ってますよー」ってことです。サルファ剤の作用に加えて、葉酸の生成をトリメトプリムがジャマします。効果はさらに増強されるのです。

ちなみに、牛さんは葉酸を食べ物から直接取り込みます。
自分でつくることはないので、こうした物質の影響を受けてしまうことはありません。
なんて都合のよい物質なのでしょうか♪

ところで、今回とりあげたサルファ剤などは「抗生物質」ではなく、「抗菌薬」と呼ばれます。
前回とりあげた「キノロン系」抗菌薬もそうなのですが、これらは人工的に合成された物質であるため、厳密には「抗菌薬」と分類されます。微生物から産生された抗菌作用のあるものが「抗生物質」と呼ばれているのでご注意ください。

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