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戸田克樹のコラム
第115話「アンチバイオテック!④」

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2016年12月13日

治療牛をつかまえようと部屋に入ろうとしたそのとき

まさかの牛が写真のように整列。奥でこちらをじっと見ているのが治療牛です。
「あいつのことは俺たちが守るゼ!!!」
と言わんばかりの整列っぷりに思わずシャッターを押してしまいました。牛さんにも『仲間意識』ってやつがあるのでしょうか。ん~。奥深いなぁ。
 
 
核酸合成阻害薬
①細胞壁の合成を阻害するβラクタム系抗生物質
②タンパク質の合成を阻害するテトラサイクリン系・アミノグリコシド系・マクロライド系・チアンフェニコール系抗生物質

これまで、ターゲット別に上記の抗生物質を紹介しました。
つづいて紹介するのは核酸合成阻害薬です。

核酸というとあまり耳にしないかもしれませんね。簡単にいうとDNAやRNAのことで、遺伝情報がぎっしり書き込まれています。

この遺伝情報にはタンパク質の作り方も含まれていますので、病原体が細胞分裂をするためにはなくてはならないものなのです。さらに、細胞分裂するときには新しい細胞に遺伝情報をコピーして渡さないといけませんから、核酸そのものをもうひとつ作ってあげなくてはいけません。

病原体が「よーし!遺伝情報をどんどんコピーして、核酸をつくるぞ!タンパク質を作るぞ!!」と意気込んでいるときにそのお仕事をジャマしてくれるのが核酸合成阻害薬です。

こうした作用をもつ抗生物質の代表はみなさんもご存知「キノロン系」と言われる抗生物質です。

でも、DNAの合成をジャマしちゃったら牛さんの細胞分裂やタンパク質合成だってできなくなってしまうのでは????
という不安が浮かんできますが大丈夫です♪

病原体がもっている核酸を合成する酵素のはたらきだけをジャマするように作られていますので、牛さんは元気なままなのです。ん~、すばらしい☆

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