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池田哲平のコラム
尿石症を考える(20)

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2012年11月16日

 続いては尿石症の治療についてです。 先のコラムで書いた症状のところでも少しは紹介しましたが、ここではもう少し詳しく話していきたいと思います。

 まずは軽症の場合。排尿時に少し痛がりはするが、排尿はしており膀胱も張ってはいない様な時は、まず内科的に治療していくことが多いです。手術のメリットとデメリットを話した上で手術を望まない時も内科的に治療していきます。
 具体的には、粉末の塩化アンモニウム製剤やウラジロガシエキス製剤を各製品の適正用量で経口投与します。肥育牛の尿石症の大部分はリン酸とマグネシウムを主体にした結石によるもので、尿がアルカリ性になる(pHが上昇する)と出来易くなります(詳しくは以前のコラム「尿石症を考える(17)」をご覧ください)。塩化アンモニウムは尿を酸性にする効果があるので、その効果で結石を溶かしてしまうという訳です。ウラジロガシエキス製剤は尿pHを下げて結石を溶かす他にも、結石の刺激によって起きた粘膜の炎症を抑える効果や利尿作用もあります。
 それぞれ単独で使ったり、場合によっては同時に投与する事もあります。ウラジロガシエキス製剤はちょっと高いのがネックですね・・・。
 治癒率をしっかりと数字で出した事はありませんが、上に書いたような軽症例ではこれだけで完快する事も多いです。

尿石症を考える(20)

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