(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第222話「見るのではなく観る。観るよりも視る。」

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2019年2月13日

先の連休中は強烈な寒波が列島を襲いましたが、みなさまの体調はいかがでしょうか。
今年の冬は非常に寒暖の差が大きく、なかなか対応しきれないこともあるかと思います。牛さんの管理も大切ですが、それを行う畜主の皆様の体調はさらに大切です。休息もきちんととって、健康な毎日を送っていきましょう。

子宮回復には繁殖和牛の場合では30日~40日程度必要でしょうが(蓮沼コラム第442話参照)、その日数が経過しても良好な発情が見られない場合は積極的に獣医師などのチェックを受けることが年1産目標をクリアする上で重要です。
卵巣静止や卵巣萎縮などに陥っている場合はエサの内容を変更するなどの対策が必要になりますが、直腸検査をしていると良好な黄体が存在している卵巣に出会うことがあります。こういうときはちょっと注意が必要です。

黄体はそもそも排卵した後にしかできません。しかもサイズがいいものであれば、栄養状態は基本的に問題ないと推測されます。つまり、「発情はちゃんと来ていて排卵もしっかりしましたよー」という牛さんからのメッセージがそこには込められているのです。

繁殖農家さんも牧草を作ったり、堆肥処理をしたり、その他の雑務をこなしたりと作業量が多く忙しいものです。牛さんと接する時間が意外と短かった!という日もあるでしょう。
牛さんを意識的に観察し、「発情が来ていないかな。」と、視線をするどくして発情時期にある牛さんを「視る」ことは発情の発見率向上につながります。
1日に1回で構いません。給餌や床替えなどの作業をしながらではなく、ただひたすら牛を視るだけの時間、というのを作ってみましょう。発情発見にとどまらず、牛さんの状態や変化にも自然と目がいきますので、何かしら新たな発見があるのではないでしょうか。

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