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第223話「詰めが甘かった…」 |
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2019年2月20日
日没後の診療の帰りに通ったミカン畑にきらりと光るものが…。
まさかのシカとの遭遇でした。結構人里近いところなのですが、よほどエサがないのでしょうか。

さて、第216話から220話までお産時の汚染を防ぐためのコラムを続けていました。先日、夜間のお産がありいつもの通りに清潔度を保つことにも注意を払いながら分娩介助をしていたときのことでした。
母牛の肛門から糞便がコンニチワし始めました。
すでに前膝まで出てた胎仔の肢をすぐに産道内に押し込んで、外陰部の付着や産道内への侵入を防ぐために手袋でガードし糞便を受け流しました。もちろん手袋は汚染物になりましたので、新しいものに交換です。
念のため、消毒液で外陰部を洗い流します。
さて気を取り直してまた子牛をひっぱろうとします。
するとまた糞便が…。
結構宿便がたまっているな~とのんきに思いながらも先ほどと同じようにしてまた手袋を交換します。
ちょっとここまで来て心配になり、直検手袋で直腸内に手を入れてみました。
するとどうでしょう。まだ奥の方に便がたまっています!これでは手袋が足りなくなります。ということで、しつこいくらいにまずは糞出しを行いました。それから気をとりなおしてまたお産の介助へ。
今度は便に悩まされることなく無事に子牛は生まれてくれました。
こういったケースを防ぐためにも、「まずは宿便をきちんと出しておく」という作業も必要になってきますね。
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