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数面麻子のコラム
第127話:体の外にいる寄生虫

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2016年4月22日

「疥癬」はどの農場でもとても良く見られる皮膚病の1つです。特にビタミンAや亜鉛が欠乏して皮膚が弱なっている牛さんで非常に重症になっているのをたまに見かけます。処置としては、フルメトリンやトリクロルホンを撒布してあげます。 疥癬はとても身近な皮膚病ですが、その原因の1つであるシラミの生態についてみていきましょう。シラミは卵から不完全変態で成虫となります。この不完全変態を経るものは他にもセミやトンボがあります。完全変態はチョウでご存知の方が多いのではないでしょうか。完全・不完全の区別は蛹を経て成虫になるかどうかで決まります。

 シラミは生まれた時から寄生した宿主の血を吸って大きくなります。そして土壌に降りることなく、宿主の体表に一生住み続けます。また、宿主特異性もあるので他の牛さんに住むシラミが人間に寄生するということもありません。シラミはとても一途な虫なのです。

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