(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
数面麻子のコラム
第128話:体の外にいる寄生虫②

コラム一覧に戻る

2016年5月13日

 今回はショクヒヒゼンダニ(疥癬虫)についてです。

 ダニというと、吸血するイメージがありますが、全部のダニが吸血するわけではありません。ショクヒヒゼンダニも吸血しないダニです。ショクヒヒゼンダニは非常に小さいダニで、肉眼ではほとんどお目にかかることはできません。牛さんの皮膚に寄生したヒゼンダニは宿主の皮膚内に穴を掘ってそこで卵を生んだり糞をしたりします。疥癬の痒みはダニそのものによるものではなく、穴に残された糞や脱皮の殻によるアレルギー反応が原因です。穴の中で卵が孵化すると、その後2週間ほどで成虫となります。雄ダニは牛さんの体表を歩き回り、雌ダニを探します。

 また、幼虫や若虫なども体表を歩き回っているので、牛さん同士が接触することでまた次の牛さんへと、簡単に広がってしまいます。牛さんの皮膚ではあっという間に増えてしまうヒゼンダニですが、皮膚を離れてしまうと、すぐに弱って死んでしまいます。

|