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桐野有美のコラム
「ルワンダ便り−22 「わたしの1日(出社)」」

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2011年10月11日

 さぁ、今日も気合を入れて仕事に出発です。隣の商店のベルトラ(3歳)が「ぼくのユミ!おはよう!」と笑顔で見送ってくれます。面識のない人同士でも、目が合ったら言葉をかわします。これがもう知り合いとなると、握手して抱き合ったり、男性同士はおでことおでこをくっつけたりして再会の喜びを分かち合います。たとえ昨日会ったとしても、一日千秋と言わんばかりのテンションです。一方、挨拶がわりに黙ったまま目を見開くように眉毛を持ち上げてニヤリとすることもあります。ルワンダ人はちょっとシャイだったりします。
 道路事情も交通マナーも悪いこの国では、協力隊員が車やバイクなどを所持したり運転したりすることは禁じられています。だからひたすら歩きます。「千の丘の国」と呼ばれるこの国は、どこもかしこも坂ばかり。家の門を出た瞬間に赤土むきだしの急斜面が待っています。標高も高いので心肺能力が鍛えられます。
 歩いていたら急に風が強くなってきました。これはひと雨きそうです!
 ・・・ほら降りだした!降り始めからバケツをひっくり返したような土砂降りです。道端の暇人たちも、登校中の子供たちも、みんな大慌てで道沿いの商店の軒下にかけこみます。店主も嫌な顔ひとつせず、雨の避難民たちを迎え入れてくれます。軒下はみんなのおしゃべりでとても賑やか。多くの職場の始業時間は朝7時と早いのですが、こういう日の遅刻は当然のこととして許されます。ずぶぬれの泥まみれになってまで出社することはまったく求められていません。それが彼らの価値観。あらゆる予定は雨によって大幅遅延、あるいはキャンセルされ、そのことで不平を言う人はいません。南の島のハメハメハ大王の世界です。

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