(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
桐野有美のコラム
「ルワンダ便り−12 「乳しぼり」」

コラム一覧に戻る

2010年9月1日

 お乳の搾り方ですが、まず必死で乳房に吸い付こうとする子牛を押しのけます。人工哺乳はしていないので、子牛だってお腹ぺこぺこ。お母さんの乳房に必死で食い下がりますが、繰り返し払いのけているうちにあきらめます。使用人は子牛のよだれでヌルヌルになった乳房を手でぬぐいます。そして牛のしっぽがパタパタしないように、しっぽの先を牛の後ろ足に結びつけ、おもむろに乳房の横にしゃがんで乳搾りを始めます。あ、乳絞り前に手を消毒することは特にありません(笑)。両ひざでかかえた小さいプラスチック容器(洗濯洗剤がはいってた容器)にお乳がいっぱいになったら、大きな容器に移し、自転車で集乳センターか牛乳屋に持って行きます。
 乳価は1リットル200フラン(40円)前後。牛乳屋さんはこれを300フラン(60円)で量り売りします。一方で、スーパーで売っているパック詰めの殺菌牛乳はリットルあたり1,000フランとかなり割高です。
 気になるのは乳量。一頭あたりの乳量は品種によってまちまちですが、だいたい10リットル足らず、特に乾季はえさも入手できないので、在来種(アンコーレ牛)だと3リットルくらいしか出ない牛も珍しくありません。乳量が少ないうえに、かなりの量を家族や親戚で消費してしまうので、数十頭も飼っているような裕福層は別として、2、3頭だけの一般の農家さんが牛乳から得る現金収入はわずか。それでも、牛から得られる堆肥で農作物の収量がぐっと増えるというメリットはおおいにあるようです。
|