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桐野有美のコラム
「ルワンダ便り−10 「牛の「食」事情」」

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2010年6月28日

 ルワンダの牛は何を食べているかと言うと・・・放牧場のあるところだと基本的にそのへんの雑草をのんびりと食べています。ただ、国土が狭く人口密度の高いルワンダは、ゼロ・グレージング、すなわち「舎飼い」を推奨しているので、こういう牧歌的な風景は田舎の方でしか見ることができません。舎飼いの場合、富裕層は配合飼料を購入して与えたりもしますが、一般の牛飼いさんのところでは基本的に草だけ。草はほとんどがネピアグラスです。刈ってきた草を、パンガと呼ばれる大きな鉈(なた)で叩き切るのですがこれがなかなかの迫力。写真のように丸太の上に束ねたネピアグラスをのせ、頭上高く振り上げたパンガを振り下ろし、バン!バン!とワイルドに切っていきます。もう一枚の写真のように、日本で昔使われていたような、ハンドルをぐるぐるとまわすと草が切れる器械を使っているのも見たことがあります。
 一方、雨の降らない乾季は草が採れないので、牛にあげられるのは唯一この季節でも青々としているバナナの木の幹。断面をみるとまるで麩菓子みたいで、これってなんか栄養あるのかな、と思うくらいスカスカです。案の定、この時期の牛は本当にかわいそうなくらい痩せています。特に去年のように乾季が長引くと、一日何百頭という単位で餓死することも!その上、この時期は分娩事故も多いようです。改めて、分娩前の栄養不足は難産の大きな原因だな、と実感します。
 地面に穴を掘って作ったトレンチサイロでサイレージを作っている裕福な農家さんもありますが、まだまだ一般的ではありません。首都に大きな製糖工場があるので、発酵バガスが作れないかな・・・と思案中です。
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