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桐野有美のコラム
「ルワンダ便り−4 「ルワンダの牛事情」」

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2010年2月8日

 協力隊員の仕事内容は、派遣国からのリクエストを反映して決められます。わたしの場合、日本の農水省にあたる農業動物資源省の中にある「ルワンダ動物資源開発公社」というところからの要請で、この国に牛の受精卵移植(ET)技術を導入するために派遣されました。
 「え?アフリカでET?」「そもそもアフリカに牛がいるの?」そんな声が聞こえてきそうですね。わたしも初め、そんなふうに思いました(笑)。大草原で裸の遊牧民が牛を追っていて、その傍らにはキリンやライオンが走り回っている風景を想像し、そんなところでETなんか本当に求められているのかな?と。
 ところが、想像以上にこの国は酪農が盛んで、首都にさえ、市街地を抜ければあちこちに牛がいます。そしてどの町にも動物用医薬品や畜産用品を取り扱うお店があります。また、喫茶店のメニューを見ても、この国の人たちがいかに牛乳好きかがわかります。牛乳、自家製ヨーグルト、ミルクティー、そしてファンタ。どのお店もこれだけ。そしてお昼どきに食堂へ行くと、定食を食べながらジョッキになみなみつがれた牛乳をおいしそうに飲むおっちゃんたちの姿を必ず目にするはずです。多い人は一日3リットルから5リットルも飲みます。
 そのうえ、ルワンダで一番ポピュラーなお肉は牛肉なんです。ちなみに鶏肉は高級品でなかなか一般の人は買えません。日本と逆ですね。牛肉の調理法としては、トマトベースのシチューにするのが一般的で、玉ねぎやセロリ、にんじんなどと一緒に、炭火でゆっくりコトコト煮ます。
 牛が大好きな国、ルワンダ。その背景には、牛抜きには語れない長い歴史があったのです。

【写真は喫茶店の定番メニュー、ホットミルクとチャパティ。】

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