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桐野有美のコラム
「子牛の口に入るもの−12」

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2009年4月8日

 飲み水も意外な落とし穴です。農家さんによって、押すと出てくるウォーターカップだったり、フロート式だったり、バケツに水を汲んだり・・・といろんなタイプがありますが、どのタイプであっても必ず毎日の掃除が必要です。水を毎日変えているから大丈夫、というものではなく、容器そのものをしっかりこすって洗いましょう。
 フロート式の水槽にたまった水が腐敗して、それを飲みたくないがために水分不足になり、熱中症のような症状に陥った仔牛を見たこともあります。また、別の農家さんで、離乳したとたんにどの仔牛も下痢を繰り返すので、ふと気になって飲み水を検査したら(下段の写真)、カウント不可能なレベルの細菌が検出され(左の濃い赤色の培地にびっしりとはえているのがわかります)、大腸菌も陽性(右の薄いオレンジの培地にぽつぽつと見える点々。これは基本的に検出されてはいけない菌です)!ということがありました。水源を改善したところ、細菌数が激減し、同時に下痢も落ち着きました。いくらエサに善玉菌の生菌剤をふっても、仔牛が悪玉菌をゴクゴク飲んでいては善玉菌に勝ち目はありません。
 水槽の内側を触ってヌメリがあるようなら要注意!添加剤や抗生物質の前に、まずは新鮮で清潔な水を!
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