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桐野有美のコラム
「子牛の口に入るもの−11」

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2009年4月1日

 それからこの時期の仔牛の主食にも、よく見ると危険がいっぱいです。
 母乳で育てる場合には、「お産の話−41」でお話したように、母牛の栄養管理が一番大事です。母乳は仔牛の飲みたいときに飲みたい量だけ出るようできていますから、母牛に変敗したエサをやったりエネルギー不足に陥らせたりしなければ、危険な母乳は出ないはずです(発情のときは一時的に乳質が変化しますが・・・)。
 問題は人工哺乳のミルクです。母牛のコンディションに左右されることなく、毎日一定した質のものを提供できる・・・はずなのですが、実は無意識のうちにばい菌だらけのミルクを飲ませていることがあります。ミルクは脂肪たっぷり、たんぱく質たっぷりですから、容器にすこしこびりついたものでもばい菌たちにとってはパラダイスです。よく点検すると意外なところにミルクかすがたまってばい菌の棲みかになっているかもしれません。例えば哺乳バケツの乳首をはずしてみると、写真のようになっていることもあります。ミルクを調整する器具も、お湯ですすぐだけでなく、洗剤でしっかり洗浄しましょう。また、肺炎の蔓延に哺乳ロボットの乳首が一役買っているケースも多いようです。
 食べ物がいたみやすい時期や、病気が発生しやすい時期は特に、こまめに消毒してあげましょう。
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