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桐野有美のコラム
「子牛の口に入るもの−6」

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2009年2月18日

 ちょうど昨日、肺炎の治療に行ったときにそこの農家さんが「そういえばゆうべ生まれた子牛を母牛が攻撃してまったく乳を飲ませないもんだから脱脂粉乳買ってきて飲ませたよぉ」とおっしゃるので、慌てて車に積んでいた初乳製剤を渡して、「とにかく1秒でも早くこれを飲ませてください!」とお願いしました。50ccくらいは母乳を搾って飲ませたから大丈夫だろ、とおっしゃるのですが・・・前回お話したように、それではまったく足りないのです。母牛からもらった抗体の半減期(抗体の寿命みたいなもの)は16〜32日間。子牛は自力で抗体を作れるようになるまでの期間をそれでしのぎます。ですから、生まれたその日に抗体をしっかり貯め込んでおかないといけないのです。
 冒頭の農家さんのようなトラブルがいつ起こるかわかりませんので、哺乳瓶と初乳製剤は必ず常備しておきましょう。初乳製剤は各社からいろんなタイプのものが出ていてそれぞれ素晴らしいものですが、含まれている栄養成分がけっこう違うので、獣医さんに相談して選びましょう。ちなみに私は母乳の補助として飲ませるときには日本全薬工業のカーフサポートダッシュ(とっても溶けやすい!)を、そして完全に母乳の代わりに飲ませるというときはバイエル薬品のヘッドスタート(初乳をそのまま粉にしているので栄養成分が豊富)を使っています。
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