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戸田克樹のコラム
第75話「白血球のおはなし⑥~みつけられません~」

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2016年3月2日

春です!春到来です!(確かに、まだ寒いんですけどね…)
当診療所の診療エリアには
藤川天神という観光名所があるのです。

そこには臥竜梅がズラリ!

がりょうばい
って呼ぶんです。
上にまーっすぐ伸びる樹木とちがい、こよ臥竜梅は地を這うように枝を伸ばします。
その様子が「地に伏せて体を休める竜のよう」ってことでこう名付けられました。

菅原道真公とゆりのあるのがこの神社。

まだ少し早いのですが、梅の花はちらほらと咲き始めていて、青空にその薄い白とほのかな桃色をちりばめていました。

たくさんのミツバチが花を渡り、せっせせっせとミツを集めていました。
巣にいる新たな命のために、これから命の限りミツを集めていくんだなー。

春はもう始まっていました。
命の芽吹きを感じさせる季節がやってきました。なんだかなんだか、とってもワクワクします
 
 
さて、恒例の長い前置きが終わり、今回は顆粒球の最後、「好塩基球」が主役です。

顆粒球の中には、体に侵入した異物をがっつり食べてくれる好中球がいます。
好中球ほど食べる力はありませんが、寄生虫を感知したり、良くも悪くもアレルギー反応を起こしたりする好酸球がいます。

では、好塩基球は。
食べる力はまったくありません!
細胞中の顆粒には「ヒスタミン」が含まれています。これ、アレルギー反応を引き起こす物質です。しかし、このヒスタミン分泌作用は「肥満細胞(マスト細胞)」という免疫細胞がたくさん分泌するので、この作用でも目立つことはありません(泣)
そして、この好塩基球は数がものすごく少ないのです。急激に増えるなんてケースも非常に稀です。
目立つことがありません(泣)

獣医師生活2年目が終わろうとしている戸田ですが、まだ1回も見つけられたことがありません。血中に含まれる割合も教科書的には「0~2%」とあります。でも、実際の診療現場における血液検査ではほとんど「0%」となっています(笑)。もう、出会えないのでしょうか。さみしいですね。

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