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松本大策のコラム
もうすぐまた春が来ますね その1

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2016年2月29日

 なんだか遅ればせに冬が来たようで、年明けから急に冷え込んで積雪も多くなったようです。
 北海道では、これまで雪が少なかったのですが、今朝のニュースでは猛吹雪が明日くらいまで続くということで心配しています。なんだか「異常気象」が当たり前の世の中になってしまったようで怖いですね。

 それでも、また春がやってきます。お日さまの光も強くなり、気温も上昇し雪も溶け、心が弾むような寂しいような、そういう季節になります。

 そういう時期に僕たち獣医師が心配になることが幾つかあります。
 ひとつは、急に放牧とかした場合に、筋肉に小さな損傷ができて、それ自体はさほど問題ではないのですが、壊れた筋肉のタンパク質(ミオグロビン)が排泄されるときに、濾過器の役割を果たす腎臓の毛細血管に詰まってしまって腎不全を起こすケースがあるということ。
 人間でも、急に過激なトレーニングをした時などに起こることがあります。むかし、体育会系の合宿で「血の小便をする」などという話を聞いたことがありませんか?あれは、正確には筋肉の色素であるミオグロビンの色なのです。

 牛さんでも赤い感じの尿を見たら、筋肉損傷によるミオグロビン尿症を疑ってみてください。それから、急に運動量が増えるときに、こんなことにならないようにするには、壊れた筋肉タンパク質の排泄が滞らないように、お水はたっぷりと飲ませてあげたいです。しかし、やはり冷たい水をガブ飲みさせるとお腹が冷えてお腹を壊したり、第1胃の壁越しに小腸の「腸管免疫機構」まで冷えて、免疫が低下してしまうことも考えられます。ですので、できるだけ温湯を飲ませてあげましょう。塩分もないと血液が薄くなって赤血球が壊れる(溶血といいます)ので、お塩をひとつかみとフスマをひとつかみ、お湯に入れてあげるとなお良いです。ガブ飲みを防ぐことができますし、フスマは第一胃の善玉菌のエサになります。

つづく

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