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桐野有美のコラム
「子牛の口に入るもの−1」

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2009年1月7日

 お産についてのお話を一年くらいかけて書いてきました。書きながら実感したことは、仔牛がグングン大きく成長することも、病気にかからないことも、母牛の発情がきちんときて受胎することも、すべて分娩からつながっているんだな、ということです。
 
 今回からは、そうして産まれた仔牛についてのお話です。
 仔牛は、姿こそ牛のかたちをしているものの、まだまだ未完成な部分がたくさんあります。このことを表す言葉としてよく使われるのが、「仔牛は親牛のミニチュアではない」という表現です。
 たしかに人間とちがって野外で生活する牛は、さまざまな環境ストレスや病原因子に対して高い抵抗力をもっています。でもそれはあくまでも正常に発育した「完成形」の牛の話であり、生まれて間もない仔牛は、「別の生き物」として考える必要があります
 仔牛の疾病対策を考えながら農場で仔牛のようすを観察していると、その周囲に実にたくさんの危険がひそんでいることに気づくことがあります。
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