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伏見康生のコラム
NO.337:寒冷凝集素症 その2

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2016年2月24日

2年半前のコラムでも記載しましたが、寒冷凝集素症という病気があります。

寒冷凝集素とは血液中に存在する「低温状態で赤血球を凝集させてしまう成分」で、マイコプラズマ感染症や肺炎に伴って増加することが知られています。
低温状態、すなわち冬季などにこの寒冷凝集素が血管内で赤血球を固めて血栓を作ると、体の末端の血流を止めてしまう(血栓症)リスクがあります。
血栓症を起こした場合、最悪その先の組織は壊死し脱落することがあります。これを「寒冷凝集素症」といいます。

下記の写真は、「寒冷凝集素症」によると思われる、耳介および肢端の脱落です。両方の耳がビーフジャーキーのように硬くなって落ち、片方の後肢端は蹄骨ごと脱落、もう一方も脱蹄寸前です。

確定診断には凍傷や麦角アルカロイド中毒との類症鑑別が必要です。

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