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桐野有美のコラム
「お産の話−60 「避けられる奇形 避けられない奇形」」

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2008年12月10日

 難産の原因として忘れてはならないものがもうひとつあります。胎仔の先天性異常です。先天性異常の中でも、体型異常(奇形)はどうしても難産になりがちです。本来足が曲がる方向に曲がらなかったり、背骨が左右に折れ曲がっていたりするために、母牛の産道でひっかかってしまいます。
 奇形のなかには原因不明なものも多いのですが、予防できるものもあります。栄養素の欠乏で起こる奇形、有毒植物を食べて起こる奇形、そしてウィルス感染による奇形です。栄養素と有毒植物に関しては、通常の健康的な飼い方をしていればほとんど心配ないと思いますが、ウィルスについてはきちんとした対策を打つ必要があります。その理由は・・・奇形をひきおこすウィルスのほとんどが、ヌカカ(蚊の一種)などの吸血昆虫によって牛から牛へとうつるものであること。また、温暖化の影響で蚊の活動する時期が長くなり、また昔はほとんど発生のなかった青森や北海道などの寒い地域でも流行が報告されていること。そして何より、発生を防ぐためのワクチンがちゃんと存在する、ということです。
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