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桐野有美のコラム
「お産の話−59 「種雄牛の選択」」

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2008年12月3日

 看護分娩の大切さと、それを助ける技術についてご紹介してきましたが、分娩を待つとき、みなさんが一番心配されるのはやはり初産の牛ではないでしょうか?
 初産牛では難産の危険を避けるためある程度小さく生まれる方が良いわけですが、だからといって、分娩前にエサを減らすというのはちょっと考えものだと思います。いろんな農家さんにお産で呼ばれて思うことは、やっぱり産まれてくる仔牛の大きさを決める一番の要因は「血統」だ!ということです。血統・体格の良い母牛に大型血統の種をつければ、たとえ分娩前に少々エサを減らしたとしても残念ながら(?)産まれてくる仔牛はどのみちデカイです。「え?うちはエサを減らすと(血統にかかわらず)だいたい小さな仔牛が生まれているよ?」というケースでは・・・その仔牛は単に体格が小さいだけでなく、栄養不良による虚弱仔である場合が多いようです。乳を吸う力が弱かったり、その後も風邪や下痢などを繰りかえしたりして、結局手間がかかります。
 分娩体重を小さくしたいのであれば、エサを減らすのではなく、つける種を選ぶときによく検討することだと思います。和牛の種雄牛情報には「分娩難易度」というものが表記されていませんが、地元の授精師さんや獣医さん、技術員さんなどの情報を参考にしてみてはどうでしょうか。
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