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桐野有美のコラム
「お産の話−58 「やっぱり看護(5)」」

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2008年11月26日

 朝から夕方にかけて、つまり人間が活動している時間帯に分娩させる方法で、昔から行われているものをご紹介します。
 分娩予定の約1ヶ月前から、母牛の給餌を一日一回、夜だけにする、というものです。それまで朝夕二回に分けて与えていた量をまとめて一度に給与するわけです。そして翌朝、餌が残っていたらキレイに取り除いてしまいます。そのあと夜の給餌時間までは飲水だけできるようにし、飼槽はからっぽにしておきます。
 このことにより、母牛の体内時計が変化し、給餌時間から最も遠い時間帯、つまり朝から夕方にかけて分娩する、ということなんですね。どうしてそうなるのか、という詳しいしくみはまだわかっていないのですが.・・・もともと餌を食べる時に出るホルモンは、分娩のときに出るホルモンのじゃまをすることがわかっており、このことと関係があるかも、という話です。
 より完璧を求めるのであれば、夜一回給餌の母牛には、他の牛たちが朝夕二回食べている様子を見せないようにした方がいいようです。また、この作戦を分娩予定の2ヶ月前からスタートさせると、なお成功率が高いようです。
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