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桐野有美のコラム
「お産の話−57 「やっぱり看護(4)」」

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2008年11月19日

 ところで、分娩を予測するとともに、分娩をある程度コントロールする試みもあちこちで行われています。
 そのひとつが、ホルモン剤投与による分娩誘起です。これは、プロスタグランジンや副腎皮質ホルモンといったホルモン剤を、分娩させたい時間のちょうど一日〜一日半前に注射するものです。分娩が始まるときに母牛や胎仔から自然に分泌されるものと同じ成分を注射することで、母牛の体が分娩に向かって変化を始めるわけです。
 この技術に関してはいろいろな意見があり、それぞれの農場の運営のしかたにあわせて、実施するかしないかをよく検討する必要があると思っています。「この時間帯に第一破水がくる」というコントロールが不可欠な大規模集約管理であるとか、お父さんが来週から入院するからどうしてもこの2、3日のうちに分娩させたい、とか、母牛に対して胎仔が異常に大きすぎて分娩が遅れると危険だ、とか、いろんな事情があると思います。メリット・デメリットを獣医さんとよく話し合ったうえで実施しましょう。
 次回は、もうひとつ、古くから生産現場で行われてきた方法です。
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