(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
桐野有美のコラム
「お産の話−55 「やっぱり看護(2)」」

コラム一覧に戻る

2008年11月5日

 牛がいつ分娩するかわからない、という状況の中、分娩監視するのは大変なことです。分娩予定日はわかっているものの、その日ぴったりに分娩する確率は低く、特に近年は分娩が遅れる傾向にあります。あと少しで分娩が始まりそうだよ!ということが予測できれば、難産を見逃すこともないし、他の作業も効率的にできるのに・・・という声は多いと思います。
 そんな中、最近多頭飼育の農家さんを中心に普及しつつあるのが、センサーを使った自動分娩監視システムです。インターネットで「分娩 監視 牛」というキーワードを入れて検索してみてください。国内外で開発されたいろんなタイプのものがあるようです。基本的には、母牛の膣の中に入れた小さな温度センサーが破水とともに膣の外に押し出されることで、その温度差を「分娩の始まり」と察知します。膣の中はあったかいですが、外界はそれより温度が低いですもんね。それを感知するわけです。分娩の始まりを感知したセンサーは、みなさんの携帯電話に通報してくれるというわけです。商品によっては、分娩前数日間の体温の変化を数分ごとに記録し、グラフにして示してくれるものもあります。母牛の体温は、分娩の1〜2日前に低下することがわかっているので、これだと前日か前々日くらいから心の準備をすることができます。また、分娩房付近を防犯カメラのようなもので常に撮影し、それを携帯電話のテレビ電話機能でいつでも見ることのできるシステムを併用しているものもあります。赤外線ライトがついているので、夜間の分娩にも対応できるそうです。
 これらの機器は、取り扱っている会社がモニター貸し出しを行っていたり、市町村によっては補助事業になっていたりするので、まずは情報を集めてみてはいかがでしょうか。
|