(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
桐野有美のコラム
「お産の話−49 「まずは栄養管理(10)」」

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2008年9月17日

 それから、ビタミンD。これは、基本的に牛が自分で作るものです。紫外線を浴びることで、ビタミンDのもとが皮膚で作られます。ですから、あまり太陽光を浴びることのない舎飼いの場合は不足しがちです。ビタミンDの一番大事な仕事は、「餌に含まれているカルシウムを、きちんと腸管から吸収させる」という働きなんです。つまり、ビタミンDが足りなくなると、カルシウムの摂取がうまくいかなくなり、カルシウム欠乏症になってしまうのです。分娩前後の母牛にとってカルシウムがいかに大切か、ということについてはちょっと前の回にお話しましたよね。その他に、特に高齢牛では、ビタミンDの不足で、骨軟症という足の関節に痛みを生じる病気になったり、生まれてすぐの仔牛で背骨の成長に異常が起きたりすることもあります。
 最後にビタミンE。これは餌にじゅうぶん含まれているから欠乏することはない、と言われていましたが、ビタミンAと同じように(いやそれ以上に)、牧草を乾燥させることで失われてしまう栄養素です。なんと、乾草にする過程で約3分の1になってしまうそうです。ビタミンEは、あらゆるストレスや酸化障害と闘うのが役目で、肝機能や受胎のしくみに深く関わっています。また、ビタミンEの欠乏は、生まれてきた仔牛が虚弱になってしまう、白筋症という病気にもつながります。
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