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桐野有美のコラム
「お産の話−47 「まずは栄養管理(8)」」

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2008年9月3日

 ビタミンといってもいろんな種類があります。それらひとつひとつが、牛の体を「普通」の状態に保つのに必要不可欠なのですが、特に分娩前の母牛で配慮してあげたいビタミンが三つあります。それは・・・ビタミンADEです。ビタミン剤として販売されているものには、だいたいこの三つが含まれていると思います。これらが母牛にとっていかに大事かを簡単にお話します。
 まずビタミンA。これは基本的にはわざわざ薬で与えなくても、青草に含まれる色素のひとつであるβカロチンから作られます。もしも良質の青草が常に給与できるのであれば、ふだんはそれで事足りるかもしれません。でも分娩前後の母牛は、痛みや不安、エネルギーの消耗といった、たくさんのストレスと闘っています。ビタミンAはストレスと闘うときの必須アイテムです。また、「母乳」という形でもビタミンAはたくさん出ていってしまいます。特に初乳には、生まれてすぐの仔牛のために高濃度のビタミンAが含まれています。ということは、分娩前後の母牛が必要とするビタミンAの量は、普段よりずっと多いことになります。
 ところが、青々とした牧草も、本当にビタミンAをたくさん含んでいるのかどうか保証できないところがあるのです。それはどういうことかと言いますと・・・
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