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桐野有美のコラム
「お産の話−46 「まずは栄養管理(7)」」

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2008年8月27日

 というわけで、カルシウムは分娩前後の母牛にとって非常に重要なものなのですが、血液中のカルシウムは、分娩のときにどうしても一時的に低下します。低下したままだと、母牛が立てなくなったり、前回お話したような困ったことが起きたりするので、そうならないように、骨などに蓄えていたカルシウムを溶かしだして少しずつ正常なレベルまで戻していくというしくみになっています。このしくみがうまくいくように、分娩前後の母牛にはカルシウムの不足がないように配慮しましょう。特に高齢牛は要注意です。
 カルシウムは、意外にも(?)牧草や稲ワラといった粗飼料のなかに豊富に含まれています。良質な粗飼料をおなかいっぱい食べさせるということは、母牛の空腹ストレス解消のためだけでなく、カルシウムの摂取という意味もあったんですね。加えて、分娩の前後に添加剤で補充してやると安心です。具体的な方法はもう少しあとで・・・。
 さて、難産と直接関係があるわけではないのですが、分娩前後の飼養管理ということでついでにビタミンについても少し触れたいと思います。お産に際して、なぜビタミンが大事なのでしょうか?
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