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桐野有美のコラム
「お産の話−45 「まずは栄養管理(6)」」

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2008年8月20日

 飼料そのものを増やすのと同時に、自信をもってお産を迎えるためにあと2つ3つ補給してあげたいものがあります。
 ひとつはカルシウムです。母牛にとってカルシウムがどれくらい大事か、ちょっと見てみましょう。
 まず、妊娠期間を通して、母牛は自分の持っているカルシウムを総動員して仔牛まるまる一頭分の骨を作ります。仔牛一頭分の骨はだいたい7〜8kgくらい。そのうちの半分がカルシウムです。
 また、分娩するときや後産を出すときなどには子宮がギューッと収縮しますが、その「ギューッ」という動きを起こさせるためには、起爆剤としてカルシウムが必要なんです。カルシウム欠乏の母牛は、踏ん張りが弱かったり、いつまでも後産が出なかったり、悪露が長引いたりするというわけです。
 それから、乳牛の管理では分娩前後のカルシウムの調整が非常に重要視されているのですが、それはやはりあれだけたくさんのお乳を出すためにおびただしい量のカルシウムが消費されるからです。和牛はそんなにお乳を出すわけじゃないのですが、特に近年の血統は大型化の傾向にありますから、仔牛が必要とするお乳の量もそれなりに昔より多くなっています。多いものでは一日8Lとかそれ以上出すのもいます。
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