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桐野有美のコラム
お産の話−44 「まずは栄養管理(5)」

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2008年8月6日

 みなさんはどんな牛舎で母牛の管理をされていますか?大規模酪農家さんのように、繁殖サイクル(泌乳ステージ)ごとに群を分けて飼育しているのであれば、種付け待ちグループ/妊娠維持グループ/分娩前グループ、というようにその群ごとに餌の内容や量を調節しやすいですが、なかなかそのような形態で飼っていらっしゃる方は少ないのではないでしょうか。
 わたしが診療に行く農家さんは、一頭ずつの個室か繋ぎ飼い、または連動スタンチョンの3パターンです。個室や繋ぎ飼いなどは、一頭ごとに餌を食べる場所が決まっているので餌の調節がしやすいのですが、だいたいこの牛舎形態の農家さんは少頭飼育であるためにご自分の記憶力を過信して台帳管理が少々あいまいで、それぞれの牛の妊娠月齢をすぐに思い出せない方が多いようです。こういう所では、妊娠鑑定で受胎を確認したらすぐに、その牛の飼槽か柱にでも分娩予定日といっしょに「エサを増やす予定日」も大きく書いておくといいと思います。一方、連動スタンチョンでは、どの枠にどの牛が入るかが決まっていないところがほとんどだと思います。その場合は、分娩二ヶ月前の牛に目印をつけることをおすすめします。鼻環をつっている紐にカラーテープを付けるもよし、首輪をつけるもよし、とにかく首から上、つまりスタンチョンに顔を出したときによく目につく場所に目印をつけ、その牛にだけ特別メニューを追加するようにしてはどうでしょうか。これは色を変えれば「種付け待ち」の印にも使えるので、発情行動のチェックにも使えます。

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