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蓮沼浩のコラム
第432話:魔法の弾丸

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2016年2月4日

 「本当にここは鹿児島かいな?」
 1月の寒波は半端なく、すさまじい積雪でした。出張も重なっていたので、道路は通れないし飛行機は飛ばないし結局は新幹線にて移動。しかも、この新幹線も遅れに遅れて疲労困憊。いや~~~、自然にはどうしようもありません。

 小生たち獣医さんは毎日のように抗菌薬を使っています。普段からあって当然であり、当たり前のように使っています。そして、この抗生物質がないなどということを、まったく考えたこともありません。それぐらい、日々の生活ではあたりまえの薬になっているのです。おまけに抗菌薬を使って病気の治りが悪いと自分の診断力、治療技術や管理方法などのことは脇に置いて「この薬、効かね~な~」などと平気でのたまいます。

 でも、本当にそれでいいのでしょうか?

 実はこの抗菌薬の歴史はまだ100年ちょっとしかないのです。それまで人類はそれこそ病原微生物との戦いに連戦連敗。おびただしい数の死者の山を築いていたのです。
 おまけに病原微生物が病気の原因であることもほとんどわかっていない状態とくればなおさらです。家畜が病気になって死ぬのも、人間が死ぬのも神の呪い、悪霊etc.と本質的にはほとんどお手上げ状態の時代が何千年も続いていたのです。獣医さんの治療の中には牛さんの体に辛子をぬりたくって、その上から毛布をぐるぐる巻きにして土に体を埋めるなんてことも行われていたのです。
 抗菌薬の歴史を考えれば、今ある薬に感謝の気持ちが芽生え、今まで以上により有効な適正使用ができるのではないか?そんな気持ちで何回かコラムを書いてみますね。
 なんせ抗菌薬は別名「魔法の弾丸」と言われていました。数えられないぐらいの人と動物の命を救ってきた人類最大の発明の一つですからね。

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