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数面麻子のコラム
第117話:子牛についていろいろ・・・㉑

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2016年1月29日

 子牛が外の世界で呼吸するためには、胎盤から肺に酸素供給機関が移行することにより、他の循環器にも様々な変化が起こります。まず、臍血管が断裂し、臍血管の局所的収縮が起こることにより臍血流は停止します。また、胎盤のからの循環がなくなることで、子牛の全身血管抵抗が上昇し(血圧が上がる)、大静脈や心臓の圧が上昇します。これらの変化により、胎仔の頃の血流経路から成牛と同じ血流経路に変化していくのです。胎仔の時に必要であった、心臓の左の部屋と右の部屋を繋げる卵円孔という穴は、血液の流れが逆になることにより塞がって、心房にくっついてそのまま閉じられます。また、肺動脈と大動脈を繋げていた動脈管も収縮してその役目を終えます。以上のことが、牛さんだけでなく、人間や他の動物にも、外の世界に出てきた瞬間に起こっているのです。もちろん皆さんも赤ちゃんの時にこの大作業を済ませています。すごいことですね!

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