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「母ちゃん牛のすそから変なものがぶらさがっとる!」という電話。大急ぎで行ってみると、確かに母牛の産道からすごいものが出てきています。産道から、というより、産道そのものが出てきています。そうです。「子宮脱」です。 仔牛が無事生まれ、よかったよかった!とひと休みしてから牛舎に戻ってみると、写真のような光景に出くわすことがあります。子宮が反転して陰門の外に脱出してしまっている状態ですが、何がどうなってるのかすぐに理解するのは困難だと思います。イメージのために、まず子宮を靴下だと思ってください。足を入れる履き口が子宮の出入り口で、指先の部分が子宮の先端です。次に、靴下の内側が外側になるようにくるっとひっくり返してみてください。それが子宮脱の状態です。今見えてるのは子宮の内側、ということです。 直接的な原因は、分娩後の強いいきみ(努責)です。分娩後、すぐに立ち上がることのできた母牛ではあまり発生することがないようです。しかしなぜ仔牛が出たあとも強くいきむのか、については諸説あり、まだよくわかっていません。ひとつの要因して、無理な助産で産道を傷つけた結果、その痛みや違和感で母牛のいきみが続いてしまうという可能性が指摘されています。 いずれにしろ、これは一分でも一秒でも早く処置にとりかかるべき緊急事態です。 |