(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
桐野有美のコラム
「お産の話−35 「双仔」」

コラム一覧に戻る

2008年6月4日

 双仔になるメカニズムはまだはっきりとはわかっていないのですが、“それはたくさんお乳を出すための体のしくみや、栄養の管理と大きな関係があるようだ”という説が有力です。そのためか、乳牛と比べて和牛では、多胎(二頭以上の胎仔を一度に妊娠すること)となる確率は低いようです。でも、和牛の場合でも、難産で呼ばれて双仔だったということが年に数回ありますので、これから大規模化していけばたびたび遭遇するかもしれません。
 双仔の場合、一般的には分娩予定日より少し早めに産まれてくることが多いようです。だから、予定日より早くお産の兆候が現れた場合は、「双仔かも!」という意識をもつようにしましょう。双仔の仔牛は比較的からだが小さいので、娩出そのものは楽です。でも、双子のどちらか一方の胎勢がおかしくてどこかにひっかかってしまったり、一頭ずつではなく二頭同時に出てこようとして産道にはまってしまったり、というパターンで難産になりがちです。また、からだが小さいために、破水がうまく起こらず、仔牛が胎膜に包まれた状態で出てきて、窒息してしまうこともあります。
|