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産道に手を入れて仔牛の頭に手を添えたら、いよいよあとは引っ張るだけです。 ここで大事なことは、引っ張る方向です。お産の話-23でもお話しましたが、産道のトンネルは水平一直線になっているわけではなく、上下にくねっています。これは自然分娩の際に、母牛のいきみで押し出された仔牛が、重力にしたがい地面に向かって垂れ下がっていくことを想定したつくりになっています。ということは、人為的に牽引する場合も、最初は後方へほぼ水平に引っ張り、仔牛が出てくるにしたがって徐々に引っ張る方向を下向きにしていったほうがよいということになります。仔牛の腰が出てくる段階になると、ほぼ真下に向かって引っ張ってもいいくらいです。 仔牛の前肢は左右片方ずつ引っ張ります。片方の足が球節(蹄のすぐ上の関節)からさらに15センチ上くらいまで見えてきたら、もう片方も引っ張ります。両足ともこの位置まで出せたら、このまま牽引で娩出させることができると言われています。逆に、15分間くらい引っ張ってもこの位置まで出てこない場合は、仔牛の肩が母牛の骨盤腔より大きいと考えられるため、帝王切開に切り替える必要があるかもしれません。牽引をやめてすぐに獣医師を呼びましょう。 |