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桐野有美のコラム
「お産の話−25 「よし引っ張るぞ!」」

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2008年3月26日

 産道マッサージをすると、母牛の陣痛も促され、怒責(いきみ)も強くなってきます。それに合わせて仔牛もしだいに押し出されてきます。
 さあ、いよいよ仔牛にロープをかけます。これには実に様々な手法があり、それぞれ現場で工夫をこらした試行錯誤の賜物なので、どれが一番、ということはできないのですが、ここでは一例として、うちの診療所でいつも行っている方法を書いてみようと思います。
 基本的に、ロープをかけるのは右足、左足、そして頭の三箇所ですが、どこから始める、という決まりはないので、そのときの仔牛の体勢やお産の進行状況に合わせて、一番やりやすい部分からロープをかけていけばいいと思います。
 まず足の結び方から説明します。ここでは「とっくり結び」を使います。引っ張っている最中に緩まず、かつ、ほどこうと思えばすぐほどける結びかたなら何でもいいのですが、とっくり結びは、現場のいろんな場面で使えるロープワークのひとつなので、マスターしとくと便利です。ふたつのわっかを作り、それを重ね合わせるのですが、文章ではまったくうまく伝えられないので、図をご覧ください。
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