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桐野有美のコラム
「お産の話−24 「準備 OK?」」

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2008年3月19日

 さあ、仔牛の胎勢が飛び込みのような姿になったら、仔牛側の準備はOKです。
 そうか、よし引っ張るぞ!・・・の前に、母牛の準備はOKなのか、確認しましょう。そうです。産道の広さです。いざ引っ張り始めてから「キツイ!やっぱり無理!」となると、窮屈な状態で仔牛は弱っていく、母牛は激痛と疲労のあまり衰弱する、獣医さんが近くにいればいいけどなかなかすぐには来れない、というにっちもさっちもいかない状況になってしまいがちです。引っぱる前に清潔な手を産道に入れてみて、拡張が不十分だと感じたら、産道マッサージをしてみましょう。
 産道の内壁にはあちこちにセンサーがあって、ここを圧迫することで、産道が拡がり、また、さっきまで途中で止まってしまっていた陣痛が再び始まります。手のひらや握りこぶしで、産道の内側から外側へ、ググーッと押し広げるような感覚で圧迫します。決して爪を立てたり、挿入した腕を勢いよくピストン運動させたりして産道を傷つけることがないようにしてください。圧迫刺激はジワーッとゆっくりでいいのです。特に産道の上側(天井)にそのセンサーが集まっているらしいので、私は、手のひらを上にして握りこぶしをつくり、両腕をくっつけた状態で産道に挿入し、握りこぶしで産道の天井を押しなぞるように手前にスライドさせる、という動きを繰り返します。
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