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桐野有美のコラム
お産の話−23 「背面ジャンプの姿勢は危険」

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2008年3月12日

 前肢はちゃんと2本ある、頭もこっちを向いている、だけど・・・仔牛が仰向けだ!ということもよくあります。この状態で引っ張ることはできません。
 産道はまっすぐではなく、上下にうねっており、これは仔牛が腹這い(うつぶせ)状態で出てくることを想定したつくりになっています。仰向けのまま背面ジャンプのような姿勢で引っ張ると、仔牛の体の曲線と産道の曲線が合わず、途中でひっかかったり、仔牛の背骨を傷めてしまったり、産道を傷つけてしまったりします。

 お産の話-4の図のように、仔牛は産道に進入するときに回転しながら腹這いの姿勢になろうとします。この回転の途中で一時的に仰向けになることがあるのです。ということは、仔牛が仰向けになっているということは、まだ回転中であり、準備中ということです。仔牛の大きさが普通で、活力があるようならあと30分くらい待ってみましょう。ほとんどが自分でグルリと回転して腹這いになります。ただし、仔牛が大きすぎて回転するスペースが足りなかったり、仔牛が衰弱していて回転する力がなかったりする場合には、人為的に回転させてやらなければなりません。ここもやはり仔牛を奥に押し戻してから、頭部や肩を持って回転させます。

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