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桐野有美のコラム
「お産の話−18 「準備 〜後編〜」」

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2008年2月6日

 それでは、母牛を保定しましょう。分娩房の柱や柵にロープでつなぐわけですが、お産のときは普段より鼻先が低い位置にくるようにつなぎます。だいたい人間の膝〜太ももくらいの高さがいいと思います。これは、お産の途中で母牛が倒れこんだときに首吊り状態にならないように、です。そして、尻尾を結び、たすきがけにします。
 次に、消毒薬を溶かしたお湯をかけながら、母牛の外陰部周囲を洗います。糞便や敷き料などで汚れていますから、肛門周囲も尻尾の裏側も丁寧に優しく洗い流してください。周囲が汚れた状態で手を挿入すると、きれいな産道にばい菌を押し込むことになります。仔牛が生まれて初めて口にするものが何なのか、を考えてみてください。生まれたばかりの仔牛の腸管は、初乳を思いっきり吸収できるように、実に無防備な構造になっています・・・。
 ちなみにこのとき、母牛は陣痛の真っ最中。しばしば思わぬ行動に出ることがありますので、母牛に近づくときから十分に注意してください。
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