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数面麻子のコラム
第109話:子牛についていろいろ・・・⑮

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2015年11月27日

 子牛特有の免疫組織としては胸腺があります。胸腺は子牛を病原体から守ってくれる免疫細胞を産出する重要な臓器です。胸腺は10~15ヶ月齢まで成長を続け、24か月齢くらいまでには退縮してしまいます。人間でも10代までには活発に活動していますが、30歳ではもうなくなってしまっているので、30歳を過ぎている皆さま、病気には気を付けましょう。この胸腺ですが、母牛が分娩前に栄養不足だと生まれた子牛の胸腺が小さいことが分かっています。特に母牛の蛋白質が不足している場合は要注意です。
 そして、外からの異物が入り混んでくる腸管でも粘膜免疫が日々働いています。腸管上皮細胞層にはパイエル板と呼ばれるものがあり、ここに存在するM細胞が病原体を認識して免疫細胞に敵が来たことを伝える働きをしてくれます。この病原体(抗原)の提示はまだまだ獲得免疫が不十分な子牛にとって非常に重要です。しかし、子牛は下痢など腸管の異常発酵を起こしやすく、腸管免疫機構にも影響を与えます。ミルクの量を加減したり、生菌剤を利用するなどして子牛の腸内環境を整えてあげることも大切です。

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