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数面麻子のコラム
第106話:子牛についていろいろ・・・⑬

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2015年11月6日

 子牛は成牛に比べ、非常に疾病にかかりやすいです。それもそのはず、子牛の免疫細胞は様々な病原体に対して初対面であるため、1つ1つ勉強して子牛に対して敵である病原体を記憶していく必要があります。なので、病原体が子牛の体内に入ってきてもすぐに対応できるかどうかはわかりません。病原体が体内に入るとその病原体を認識して他の細胞に的が来た事を伝える働きをする細胞があるのですが、子牛ではその働きが成牛に比べて弱いです。また生後2週間までの子牛は好中球(感染初期に動員される)の活性が、こちらも成牛に比べて劣ります。
 ではこれらの病原体からどのように子牛を守るのか。病原体は環境中に常に存在し、ゼロにすることは不可能です。しかし、感染しても発症しなければ、何の問題もありません。むしろ、沢山の病原体に感染すれば、それだけ免疫細胞がそれらを記憶することができるかも・・・。しかし、病原体の感染数が多すぎたり、子牛自体が弱かったりすると、とことん病気にかかります。

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