(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
桐野有美のコラム
お産の話−6 「いよいよ出てきます」

コラム一覧に戻る

2007年11月7日

 羊膜に包まれた胎仔の蹄が見えてきたら、いよいよ分娩も佳境に入ります。この羊膜(中が透けて蹄が見えているから「足胞」とも呼びます)が、外へ出ようとする胎仔に圧迫されて破れるのが、第二破水です。(前回を参照)
 多くの場合、仔牛のおなかが地面を向いた状態で、前足から先に出てきますよね。前足が出て、鼻先が出て、肩、そして腰と続くわけですが、仔牛の頭が出てくるあたりで、母牛の陣痛と怒責は最高潮になります。産道の狭いところを仔牛の胸が通過中なのです。仔牛の胸さえ出てきたら、あとはわりとスピーディに出てきます。逆に、仔牛が後ろ足から先に出てくることもあります。一般的に「逆子」と言われる姿勢です。教科書的には、これらはいずれも正常な姿勢だとされていますが、(みなさんが経験的に御存知のように)「逆子」の場合は娩出に時間がかかったり、仔牛が弱ってしまったり、というケースが比較的多いので、注意が必要です。これについてはあとから詳しく書きます。ちなみに、仔牛の腰が出てくるまではまだ臍帯(サイタイ:へその緒)は拇牛の胎盤とつながっており、仔牛は命綱であるこの臍帯を通じて息(?)をしています。

|